BANTとは:予算・決裁権・必要性・導入時期の確認項目と、IT受託・SESでの聞き方

お役立ち記事|営業の基本|2026年10月11日|トンボ合同会社

BANT(バント)は、案件の見込みを判断するために確認する4つの項目、Budget(予算)・Authority(決裁権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)の頭文字をとった言葉です。この記事では、BANTの各項目で確認すべきこと、IT受託開発やSESの営業での聞き方、そしてBANTが埋まらない案件をどう扱うかを、試算を交えて整理します。

BANTとは

BANTは、予算・決裁権・必要性・導入時期の4つの要素から案件を見極める営業のフレームワークです[1]。1960年代にIBMが見込み客の見極めのために作ったものと紹介されています[3]。なお、Nは「Need」、Tは「Timing」と表記されることもあります[3]。

BANTを使う目的は、商談の数を増やすことではなく、限られた営業の時間を、受注に近い案件と、受注に近づけるべき案件に配分することです。また、4つのうちどれが欠けているかが分かれば、次の商談で何を確かめればよいかもはっきりします。公開されている解説記事では、BANTの充足数に応じて受注確度のランクを分ける方法も紹介されています[2]。

4つの項目で確認すること

BANTの各項目は、「あるか・ないか」だけでなく、その中身まで確かめることが大切です。たとえば必要性について、ある解説記事は、ニーズの有無だけでなく範囲に目を向ける必要があると述べています[1]。各項目で確認したい内容は次のとおりです。

項目確認すること「確認済み」と言える状態の例
Budget(予算)予算の有無・金額の幅・予算化の時期・費目(投資か経費か)「今期の予算として○○万円前後を確保済み」と顧客から聞いた
Authority(決裁権)最終的に決める人・稟議の経路・関わる部署(情報システム部門・利用部門・購買部門)決裁者の役職と、稟議に必要な資料・期間が分かっている
Needs(必要性)解決したい課題・範囲・やらないと何が困るか課題と対象範囲を顧客の言葉で記録し、顧客と認識を合わせた
Timeframe(導入時期)決定の時期・開始したい時期・その理由(期限の背景)「○月の稟議で決め、○月に開始したい。理由は○○」と聞いた

IT受託・SESでの聞き方

同じBANTでも、受託開発とSES(準委任での技術者の参画)とでは、確かめる中身が変わります。それぞれの聞き方の例を示します。

Budget(予算):金額を直接聞かずに幅をつかむ

いきなり「ご予算はいくらですか」と聞くと、答えにくい顧客もいます。受託開発では「同じ規模の過去の案件では、どのくらいの費用感でしたか」「今期の予算として確保されていますか、それとも来期の予算取りからですか」と、幅と時期を聞きます。SESでは「1名あたりの月額の上限はありますか」「精算幅(何時間から何時間までを基本料金とするか)はどうお考えですか」と、単価と契約条件の枠を確認します。

Authority(決裁権):決める人と、選ぶ人を分けて聞く

受託開発では「最終的にはどなたのご判断になりますか」「稟議にはどんな資料が必要で、どのくらいの期間がかかりますか」と、決裁者と手続きを聞きます。情報システム部門が窓口でも、予算を持つのは利用部門ということもあります。SESでは、技術者の面談で判断する現場の責任者と、契約を決める部門(購買・調達)が別のことが多いため、「面談ではどなたが判断されますか」「契約の手続きはどちらの部署が担当されますか」の両方を確認します。

Needs(必要性):課題と範囲、体制の要件を聞く

受託開発では「今回の検討のきっかけは何でしたか」「やらない場合に何が困りますか」と、課題とその影響を聞きます。SESでは、課題に加えて体制の要件、つまり必要なスキル・経験年数・担当する工程・人数・働き方(常駐か在宅か)を具体的に確認します。この要件があいまいなままだと、合う技術者を選べません。

Timeframe(導入時期):決める時期と、始める時期を分けて聞く

受託開発では「いつまでに決める予定ですか」「稼働の期限には何か理由がありますか(法改正・システムの保守切れ・期の切り替えなど)」と、期限の背景まで聞きます。SESでは「参画の開始はいつからをご希望ですか」「面談から開始までは、どのくらいの期間を見込まれていますか」と聞き、提案する技術者の空く時期と合わせます。

BANTが埋まらない案件の扱い

商談を重ねても、BANTの一部がどうしても分からない案件はあります。そうした案件を「進行中」のまま置き続けると、パイプラインと受注予測が実態より大きく見え、営業の時間も分散します。次のように、埋まり具合に応じて扱いを決めておきます。

状態(例)扱い(例)次の一手(例)
4項目とも確認済み重点案件として提案・見積を進める決裁者への提案の場を設ける
3項目確認済み不足の1項目を期限つきで確認する次回の商談で必ず聞く項目として準備する
2項目以下受注予測では低い確度で扱う課題と体制を聞く商談を設定する
期限を過ぎても埋まらない情報提供を続ける「育成」に戻す、または見送る理由を記録し、再開する条件を決める

ポイントは、「埋まらない」ことも1つの情報として記録することです。たとえば決裁者に会えない状態が続くなら、上司の同行や、顧客側の窓口担当者に稟議の進め方を聞くなど、打ち手を変える判断材料になります。見送る場合も、理由と再開の条件を残しておけば、時期が来たときに改めて声をかけられます。

試算:BANT未確認の案件が受注予測をどれだけ膨らませるか

試算(数字はすべて仮の条件です)

条件:進行中の案件20件、1件あたりの金額はすべて1,000万円(合計2億円)。BANTの確認状況は、4項目確認済みが4件、3項目が6件、2項目以下が10件。

担当者の感覚で、2項目以下の10件も確度30%で数えた場合
 10件 × 1,000万円 × 30% = 3,000万円
BANTの確認状況に合わせ、2項目以下を確度10%で数えた場合
 10件 × 1,000万円 × 10% = 1,000万円
差 = 3,000万円 − 1,000万円 = 2,000万円

BANTが埋まっていない案件を高めに数えるだけで、受注予測が2,000万円膨らみます。逆に、この10件のうち3件で予算と決裁者を確認できれば、確かな根拠を持って確度を上げられます。BANTは、営業の時間配分だけでなく、受注予測の数字の根拠にもなります。

BANTを使うときの注意点

まとめ

COMPASでできること

COMPASでは、案件ごとに金額・受注予定日と合わせてBANTを記録し、あとから直すことができます。確度の低い案件には「BANTを確認する」といった次の一手が表示され、パイプラインでは止まっている原因として「BANT重要項目未確認」が示されます。案件には、必要なスキル・工程・人数・開始月・単価上限・決まる時期といった体制の要件も記録できます。商談記録では、顧客が明言した事実と未確認の事項を分けて残せます。

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BANTの確認状況を、受注予測の根拠に

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出典

  1. Salesforceブログ「BANTとは?営業の成約率を高めるフレームワークを徹底解説」(2025年4月28日) https://www.salesforce.com/jp/blog/jp-what-is-bant/
  2. freee「受注確度とは?ランク分けのメリットと『ヨミ表』を使った管理方法を解説」(最終更新日 2025年12月4日) https://www.freee.co.jp/kb/kb-hanbai-kanri/order_angle/
  3. Outreach「What is BANT? And how to use it to boost sales in 2024」 https://outreach.ai/resources/blog/bant-sales

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