SES営業の課題とは:属人化・二重管理・会議資料・待機を、経営者と営業責任者が直す方法

お役立ち記事|営業マネジメント|2026年10月12日|トンボ合同会社

「SES営業はきつい」と言われる理由の多くは、営業担当者の能力ではなく、仕事の仕組みにあります。この記事では、経営者・営業責任者が手を入れられる課題を「属人化」「二重管理」「会議資料づくり」「待機」の4つに絞り、それぞれの原因と直し方、効率化を進める順番を整理します。

SES営業のやること:管理者の目で整理する

SES営業は、案件を出す客先と、案件に入る要員(自社社員・協力会社の要員)の両方を相手にします。仕事を分けると次のようになり、どこか1つが止まると売上が止まります。

仕事主な中身止まったときに起きること
案件の獲得客先・元請けからの案件情報を集め、要件を確かめる提案先がなくなる
要員の把握空き・空き予定・スキル・希望を最新にする合う人がいても出せない
提案・面談要員を提案し、面談を調整する同じ人の重複提案、機会の取りこぼし
契約・更新条件を決め、更新と単価を見直す更新漏れ、単価の据え置き
協力会社との連携協力会社の要員と契約を管理する契約期間のずれ、連絡漏れ

SES営業はなぜきついのか

理由の1つは取引の構造です。公正取引委員会は、ソフトウェア業を「多重下請構造型のサプライチェーン」と位置づけて実態調査を行っています[1]。商流が深いほど、情報が届くまでの時間が延び、条件を決める余地は小さくなります。その中で、客先の都合と要員の希望の両方を短い期限で合わせる仕事になるため、仕組みが弱いと担当者に負担が集中します。

「ダメな営業」と呼ばれる行動の多く、たとえば連絡漏れ、同じ要員の二重提案、更新の確認忘れは、個人の資質よりも「誰でも同じ情報を見られない」ことから起きます。以下の4つの課題は、どれも仕組みで減らせます。

課題1 属人化:案件と要員の状況が担当者の頭の中にある

担当者が休む・辞めると、案件の経緯や要員の希望が分からなくなる状態です。営業責任者が状況を知るには、担当者に聞くしかありません。

直し方

属人化しているかを確かめる3つの質問

担当者に聞かずに、営業責任者が次の3つに答えられるかを試します。答えられない項目が、記録の決まりを作るべき場所です。

  1. 来月に契約が終わる要員は誰で、それぞれ継続か終了か未定か。
  2. いま提案中の要員は、どの案件に、どの段階で出ているか。
  3. 今週受注が決まる予定の案件は何件で、何を待っているか。

課題2 二重管理:同じ情報を何か所にも書く

案件は営業の表、要員は別の台帳、単価は経理の表、というように情報が分かれていると、同じ内容を何度も書き写すことになり、ずれも生まれます。実務で使われている表計算ファイル50件を調べた研究では、計算結果を誤らせる誤りが86%のファイルに見つかりました[2]。書き写す回数が多いほど、誤りが入る機会も増えます。

直し方

課題3 会議資料づくり:集計に時間を取られる

週次会議のたびに、担当者が数字を集めて資料に貼る運用では、会議の前に時間が消えます。

試算(数字はすべて仮の条件です。御社の数字に置き換えてください)

営業担当5名が、週次会議の資料づくりに毎週1時間ずつ使う場合
5名 × 1時間 × 48週 = 年240時間

直し方

課題4 待機:空いてから探す

要員が案件に入っていない期間は売上が立ちません。一方で、会社の都合で休ませる場合も、平均賃金の100分の60以上の休業手当が必要だと厚生労働省は説明しています[3]。待機は「売上ゼロ・費用あり」の状態です。

試算(数字はすべて仮の条件です。御社の数字に置き換えてください)

単価月70万円の要員2名が、次の案件まで1か月空いた場合
取り逃す売上 = 2名 × 70万円 × 1か月 = 140万円

空く前に提案を始めて空白を半月に縮めれば、取り逃しは70万円に減ります。

直し方

SES営業の効率化:何から始めるか

4つを同時に直そうとすると、入力の負担だけが増えて定着しません。売上への効き方が直接的な順に、1つずつ始めるのが現実的です。

順番(例)課題最初の一手測る指標(例)
1待機空き予定と更新見込みの一覧を作る来月の待機見込み(人数・金額)
2二重管理正本を1つに決める書き写している表の数
3属人化次にやること・期日・待ち先を必須にする次にやることが未設定の案件数
4会議資料資料なしで正本を見る会議に切り替える資料づくりにかかる時間

SES営業の将来性は:いま起きている変化

先を予想する代わりに、すでに起きている変化を2つ挙げます。1つ目は人件費です。連合の2026年春季生活闘争の最終集計では、賃上げ率は5.01%(従業員300人未満の組合は4.69%)でした[4]。単価を見直さなければ、同じ要員の粗利は年々減ります。2つ目は取引のルールです。2026年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)では、受託する側から価格協議を求められたのに応じず、一方的に代金を決めることが禁止されました[5]。更新のたびに条件を根拠つきで話し合える営業組織ほど、この変化を利益に変えやすくなります。

まとめ

COMPASでできること

COMPASのホームでは、稼働率、来月の待機見込み(人数と金額)、平均単価、直接取引の比率を、止まっている案件や受注の見込みと同じ画面に表示します。チーム状況の画面では、顧客回答待ち・見積確認待ち・役員判断待ち・要員回答待ちなど、待ちの種類ごとに滞っている件数が分かります。「要確認案件」では介入すべき案件を決まったルールで抜き出し、「担当者別」では担当ごとに何で詰まっているかを表示します。受注予測と予算計画(フォーキャスト会議)で着地と予算との差を確かめ、論点・打ち手・次アクションを記録できるため、週次の営業会議で使う材料(要確認案件・担当別の状況・着地)が資料を作らずにそろいます。要員・体制の画面では、空き・空き予定と、要員ごとの提案中の案件と段階を確認できます。

会議とマネジメントの機能を見る → 要員・体制の機能を見る → 営業管理の機能を見る →

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出典

  1. 公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について」(2022年6月29日) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_software.html
  2. Stephen G. Powell, Kenneth R. Baker, Barry Lawson「Errors in Operational Spreadsheets」Journal of Organizational and End User Computing, 21(3), 2009 https://mba.tuck.dartmouth.edu/spreadsheet/product_pubs_files/Errors.pdf
  3. 厚生労働省「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確かめよう労働条件 Q&A) https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/chingin/q6.html
  4. 日本労働組合総連合会「3年連続の5%超え!~2026春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について~」(2026年7月3日) https://jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/yokyu_kaito/kaito/press_no7.pdf
  5. 公正取引委員会「取適法|公正取引委員会」 https://www.jftc.go.jp/toriteki/index.html

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